円通寺|京都 桜の時期に行く紅葉の庭は穴場です 

以前、京都ベースのステキな建築家の方におすすめのおを伺ったときに、円通寺がいいですよ、と聞いて以来気になっていた場所。突然時間が出来たので、事前学習をすっ飛ばして出向いたところ、名園に違いないのに誰もいなくてすごーく静か。宿の予約もままならない春のお花見シーズンの週末の京都なのに??と思いつつ、入ってみたら、もみじの新緑が実に美しい。ああ、そうかここは紅葉の名所だったのね、と納得したのでした。そういえば紅葉のピークの写真は「そうだ、京都に行こう!」の広告でも見たことがあったのに、すっかり忘れていました。IMG_8796

比叡山を借景にしたこの景観は枯山水の借景庭園の代表的なお庭の一つ。柱や軒先のシルエットがフレームになって、立体の空間が二次元の絵画になるような、不思議な感じです。庭と外を区切る生垣は低く見えるのですが高さ160cmあり、お庭全体もこじんまりとしているようで400坪と見かけよりずっと広くて驚きます。内と外、庭の空間と建築の部分の境目もゆるやかに融け合う和庭園ならではの良さを改めて実感。また、雨が今にも降り出しそうだったこの日、これまでは座観式の庭園って観るだけじゃつまらないという思い込みがあったのが、天候を問わず落ち着いて庭を眺められるって実はいいかも!と印象が変わりました。

造営は江戸時代初期、上皇となった後水尾天皇が比叡山の眺望にもっとも優れた地を求めてこの地に山荘を設けたそうです。このシルエットの比叡山を見られるのはここだけで、京都市中からはまた違う眺めだとか。ただこちらはどうしても水を扱うことが難しい地理的条件であったことから、その後、後水尾上皇は同じように比叡山を借景とした修学院離宮を作らせます。

IMG_8799この素晴らしい眺めを独り占めでしばらく座っていると、音声の説明が始まるのですが、お話されているのはこちらのご住職様なのか、宅地開発に伴ってこの借景も壊されかねない危機的状況であったこと、ようやく規制条例が出来て何とか景観を守っていけそうだということなども交えての、録音であるにも関わらず何とも実感のこもった味のある解説なのもよかった。
モミジの芽吹きとお抹茶をふりかけたような苔の新緑の色合いと質感、その黄緑がさらに外側の木々の新緑につながっていく感じが本当に美しい。

IMG_8804庭の石は上皇自ら組んだそうです(指示したということかしら)。自分で石組みが出来るなんて、流石です。
IMG_8808

 

 

脇の蹲居のあたりも小さな景色になっている。思わずパチリ。

譲位した後つまり引退後に作った山荘の庭園ですし、きらきら雅やかというのとは違うけれど、どこか軽やかな、鄙びたなかにも雅があり、だいたい比叡山の眺めそのものを我が庭にしてしまう贅があり、公家の庭の美学ということなのでしょうか、いいなぁ。

また季節を変えて訪れたい場所です。四季折々の変化を楽しめるのは、まさにお庭散歩の醍醐味ですね。ではまた!

■円通寺(圓通寺)
建立年:1678年(延宝6年)
アクセス:
京都駅から京都市営バス4号系統「深泥池」下車
京都駅から京都バス45系統「円通寺道」下車
四条河原町から京都市営バス4号系統「深泥池」下車
拝観時間:10:00~16:00
住所:〒606-0015 京都府京都市左京区岩倉幡枝町389
電話:075-781-1875

*京都駅から公共交通機関利用の場合は、地下鉄烏丸線のちバスに乗り換えるのが早かったように思います。お寺は住宅地のなか、バスの本数も多くはないので要チェックです。

 

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