ショーモンシュルロワール国際ガーデンフェスティバル

フランス最大のガーデンフェスティバル

海外のガーデンショーで有名なのは、まずロンドンのチェルシー・フラワーショーでしょう。しかし!あまり知られていないかもしれませんが、フランスでも様々なガーデンショーが行われています。中でもロワール河畔の古城ショーモン・シュル・ロワールの庭園では、毎年フランス最大級のガーデンショーが開催されます。 このガーデンショーの特長は、まず会期が長いこと。4月から11月の初めまでのほぼ7ヵ月間の開催なので、見に行くチャンスが長い。春から夏、秋へと、様々な庭の表情を楽しむことができ、出品するガーデンデザイナーにとっては、その変化も腕の見せ所。チェルシー・フラワーショーのように最高にコントロールされた数日間のみの勝負ではないので、実際に自宅のガーデンなどに取り入れるアイディアを見つけやすい場所としても面白い。 また、若手のガーデンデザイナーの登竜門としても知られるショーモンのガーデンショー。二十数個の出展ガーデンは、毎年異なる全体テーマに沿ったガーデンデザイン・コンクールを経て決定される。このテーマ設定にも、トレンドに追従するのではなく、トレンドを作ってやろうというような、ガーデンデザイン界を牽引しようとする気概が感じられる、アヴァンギャルドなテーマが選ばれることが多い。

バイオミメティックスの庭

今年のガーデン・テーマはずばり「バイオミメティックスの庭」。 耳慣れない言葉で、ちんぷんかんぷん感の方が高い。Biominetics =生物模倣技術、生物模倣なのですが、このキーワードから一体どんな庭が想像できるでしょうか? 生物模倣技というと、例えば、蚊が人を刺すときに全然痛くない、その機能と形態を研究して、痛くない注射針を開発した研究の例などがまさにそれです。なるほど。 様々な場面での有用性が想像できるバイオミメティクス、しかし庭づくりの直結するような、しないような微妙なお題だからこそ、ここがクリエイティビティの見せ所でしょう。

オスモス・ガーデン

分かりやすく印象に残ったガーデンの一つはこちら、「オスモス」と名付けられたイギリスのガーデンデザイナーの出品作品です。 ディテールから入ってしまうのですが、庭の方々に仕掛けられたこのモダンな形のハコがポイントです。 よく見るとハコの底の方からはロープが出ていて、周りの地面に根っこのように繋げられています。これは、雨水をためる容器にロープを仕込んだもので、周りの地面が乾いていれば水が伝わって灌水され、湿っていればされない。また水が多く必要な植物の周りを狙ってロープを設置することで個別の灌水量を調整できるというスグレモノのデザインなのです。 植栽された植物も、暑さ乾燥に強い、温暖化が進む今とこれからの庭に使いやすいものをチョイスしている、温暖化対応の庭です。すごく好きというのとは違うけれど、仕組みが秀逸で印象に残りました。 全体像が上手に撮れなかったのですが、フェスティバルのサイトにそれぞれのガーデンの画像がたっぷり載っているので、ご興味ある方はこちらもぜひご覧ください。
他にも色々面白いガーデンのデザインがたくさんありましたが、長くなるのでまた別途で続きを書こうと思います。

庭の中のたくさんの庭

何度かこのフェスティバルを訪れていつも思うのは、全体を包み調和した環境が素晴らしいということです。ショーガーデンは、それぞれが生垣に囲まれたフェスティバル用の敷地に作られるのですが、それらを繋ぐ全体の庭園空間が心地よくデザインされています。また、園内はレストランやカフェも充実しており、一日かけてゆったりと散策を楽しめます。 さらに、お城にはアートセンターが併設されており、城の内外で現代アートのアーティストインレジデンスや展示もされているのですが、そのセレクトがなかなかいい。 ガーデン&アート・ツーリズムのお手本のようなスマートな運営がなされている印象を受けます。 パリからは少し遠いけれど、日帰り電車旅行でもアクセスできますし、機会があればぜひ訪れてみて欲しいお城の庭園&ガーデンフェスティバルです。 次回に続きます〜。
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