ル・ノートルの傑作、ヴォー・ル・ヴィコント城 [その1]

フランス整形式庭園のバイブルと言われる
ヴォー・ル・ヴィコント城の庭園

17世紀、ルイ14世の財務長官であり、
芸術メセナでもあったニコラ・フーケが作らせた
見事な城と庭園。
この完璧に美しい城館で
ルイ14世を歓迎するための豪奢な宴を催したことが
却って王の不評を買い、フーケは失脚してしまったこと、
そしてヴォー・ル・ヴィコント城を作った
建築家ル・ヴォー、造園家ル・ノートル、画家シャルル・ルブラン
のクリエイティヴ・チームがそのまま引き抜かれ、
ヴェルサイユ宮殿と庭園が作られたことは良く知られています。

(正面の門からの眺め)

ヴェルサイユ庭園の壮大さと比較すると
まだまだ人間的な大きさにとどまるヴォー・ル・ヴィコントの庭園は、
ル・ノートルの意匠が十二分に発揮され、
その後のキャリアの中で実現していく
様々な庭園の要素がすべて入った場所として貴重です。
そこがフランス整形式庭園のバイブルと呼ばれる所以でもあります。

(*ちなみに現状では後世の修復が入っており、
必ずしも完全にル・ノートルの意匠が
反映されていると言えないという意見もあります。)

フランス整形式庭園、幾何学とシンメトリーの美

ル・ノートルが完成したとされる
フランス整形式庭園の特徴は、まず
幾何学的、シンメトリー(左右対称)な
フォルムと構成が挙げられます。

ル・ヴォー設計の城館を中心にした庭園側からの眺め。
よくよくディテールを観察すると
必ずしも左右対称の構成になってなかったりもするのですが、
全体としてシンメトリーな非常に安定した調和に満ちた
世界観が実現されています。

この揺るぎない「調和」の美意識が
フランス整形式庭園の大きな魅力の一つでしょう。

ちなみにこちらは城館する側のパルテールの花の植栽。
こちらはシンメトリーの原則には反して
一方だけの限られた植栽になっていますが、
全体の枠組みのシンメトリーがしっかり構築されているので
その調和を崩すことなく、華やかさを添えています。
(次に続きます〜)

スポンサーリンク

この記事が気に入ったら
フォローしよう

最新情報をお届けします

Twitterでフォローしよう

おすすめの記事