プロヴァンスの街ユゼスの「中世の庭」

ユゼスの「中世の庭」

ユゼスの入り組んだ石畳の道を歩いていて
ふと行き当たったのが「中世の庭」。
外からは中が全然見えない、
街に幾つかある城館の一つに付随した塔が建てられている歴史的な場所に
当時の文献などからのインスピレーションに沿って
1995年に新たに作られた「中世の庭」です。

囲われた庭のハーバリウムやポタジェ

ヨーロッパの「中世の庭」といえば、
修道院の中庭とか、城館の一角にある
薬草などを栽培する
つるバラの絡んだ塀で囲まれた小さな庭、
というのが私の持っているイメージですが、
ユゼスの中世の庭はまさにその雰囲気を再現しています。

狭い路地を通って庭に入ると、
受付や休憩のための
椅子やテーブルが置かれたテラスののちに
まずハーバリウム(植物標本集)と呼ばれる、
様々なローカルの植物を集めたコーナーがあります。

このバラの垣根の向こう側がハーバリウム。
(いつのまにかバラ満開の季節になっている!)

中心の立派なオリーブの木を囲んで、
相当早咲きのラベンダーが左手に見えます。
敷居に使われているウィロー(ヤナギ)の編み込みがかわいい。

それぞれしっかり名札が付いている
真面目な感じがハーバリウムっぽくて良いです。

こちらもハーバリウムの一角から、
オダマキももう咲いている。

中世の庭なので、
ハイブリッドな珍しい栽培種の草花ではなく、
バラだったらオールドローズ類などの
昔から親しまれてきた草花、
また食用、薬用(毒草も!)などで長く利用されてきた
ハーブや野菜などが集められているのですが、
意外と身近に普段目にする草花木が多く、
そんな彼らが礼儀正しく名札をつけてもらって
並んでいる感じが新鮮です。

こちらはポタジェのコーナー。
全体的に広くない敷地は、
コーナーごとに仕切られ、
パーゴラやアーチで立体感を出して空間が上手に使われています。


子どもが入れる大きさのウィローのキノコや、
編み込みの垣根のバリエーションも色々あるのが楽しい。

セイヨウニワトコ(エルダーフラワー)の花

そして満開のエルダーフラワーの花。
こちらではほぼ野の花扱いで、
やはり昔から生活の身近にある花木です。
エルダーフラワーの花にも薬効があるそうで、
ジャムにしたり、シロップにしたりします。
イギリスのエルダーフラワー・コーディアルという
ドリンクはこの花から作られています。
確かイケアでもエルダーフラワーのドリンクがあったはず。

そしてニワトコって、どこかで聞いたことないでしょうか?
そう、ニワトコの杖は、ハリーポッターにも出てくる
パワフルな魔法の杖の材料でもあります。

中世の庭インスピレーションのガーデン、
いかがでしたでしょうか?
スモール・ガーデンの空間の使い方の参考に良さそうです。

ヨーロッパでは日常で見かけるハーブや草花を
集まって分類された形で見ることで
それぞれの存在感を改めて感じられるのが
面白いなあと思います。
また、姿形や香りを愛でるばかりでなく、
ひとつひとつの植物に
様々な薬効や使用法やエピソードがあって
知れば知るほど楽しみ方は奥深いのです。

ちなみにこの庭の中の王の塔からは街と
まわりの田園風景が一望できます。

 

 

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