ヴェルサイユ宮殿・グラントリアノン、秋のパルテール

グラントリアノン、2022年のパルテール植栽のテーマは?

今さらながら、ヴェルサイユ宮殿の庭園の特徴は広大であること。それゆえ、離宮であるグラントリアノンまで足を運ぶのには意志の力が必要(笑)だったりしますが、こちらにもしっかり、さまざまな見どころがあります!(なので時間と体力が許す限りぜひ見学した方がいいです。)

特に毎年、夏〜秋シーズンのグラントリアノンの庭園の見どころは、パルテールの植栽です。パルテールとは、装飾的に配置された花壇のことですが、お城には必ずと言っていいほど、建物至近に配置されています。必ずしも花が植えてある必要はなく、シンプル&シックに唐草模様のようなツゲの刺繍花壇であることも。

グラントリアノンのパルテールは、専属のガーデナーが考案する、毎年異なるテーマに沿った植栽計画がなされます。さて、今年のテーマはいかに?写真から想像がつく方はいらっしゃるでしょうか?

ちなみに昨年(2021年)のテーマはエコロジーを前面に押し出した「グリーン」でした。

 

動物たちのパルテール

今年のデザイン・テーマは、なんと「動物たち」なのだそうです。(ちなみに私は全然わかりませんでした(笑))。
植物で動物を表現するってどうやって?と首を傾げたくなるかもしれませんね。ヴェルサイユ宮殿で行われ好評だった「王の動物たち Les Animaux du Roi」展という美術展からの流れで、パルテールでも様々なヴェルサイユにまつわる動物たちで植栽をデザインすることになった様子。

かつてヤシの木やレモン、オレンジなどエキゾチックな南国の植物で庭園を飾るのが王侯貴族のステイタスだった時代には、遠い国からやってきた象やライオン、トラなどの動物たちもまた然りで、現在には残っていませんが、ヴェルサイユの宮殿にはルイ14世ご自慢の動物園(メナージュリ Ménagerie)が設置されていたのだそうです。

動物を思わせる植物のセレクション

植物と動物、相容れない生き物のように思い込んでしまいますが、普段とちょっと違う角度で植物の姿かたちに目を向けてみると、意外にも動物との関連性を持つ植物が色々あるのを発見します。植栽の中から、身近な例をいくつかご紹介してみます。

ラムズイヤー(Stachys byzantina)

英語名だと仔羊の耳で、仏語名だとクマの耳、いずれにしてもシルバートーンのふわふわした葉っぱがかわいらしくて大好きな植物のひとつ。湿気が多いと上手に育ちにくいかもしれませんが、通常の植栽にもよく使われています。

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アルケミラモリス(Alchemilla mollis

こちらも、植栽や花束などによく使われる植物ですが、仏語の又の名では「ライオンの足(Patte de Lion)」とも呼ばれており、言われてみれば葉っぱの形はライオンの足型に似ていなくもない??

ちょっと見えにくいかもしれませんが、中央手前の鮮やかな黄緑の葉っぱです。花は小さな黄色の小花がついて、可愛らしく、何にでも合う感じ。花束にも使えておすすめです。

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カンガルー・ポー(アニゴザントス Anigozanthos)

オーストラリアの植物カンガルー・ポーは、キャッツ・ポーとも呼ばれるそうで、こちらはオレンジの花がカンガルーやネコの前足(手)に見える?フラワーアレンジやドライフラワーなどにもよく使われていますね。

全体のデザインとしては、低いツゲの刈込みで形作られた整形式の花壇の枠の中に、さまざまな動物にまつわる植物たちがアレンジされており、マニアックにディテールを発見して楽しむ仕組みです。グラス類にも、リスの尻尾とか、野うさぎの尻尾など、様々あって、普段じっくりと眺めないようなディテールを探してしまう仕掛けになっているのは面白いのではないでしょうか。

秋の気配のシックな色彩が素敵

そして全体的な印象としては、霧のようにふわふわキラキラしたグラスの穂と、グラフィックなしっかりした花や葉っぱの造形のコントラストが素敵な、落ち着いた上品なオートナル(秋)の雰囲気の色彩とテクスチャーが好印象。気にしなければ「動物インスピレーション」の植栽、とは全然わからなそうですが、それはそれで良いのではないかと思います。

この例に限らず、チュイルリー庭園などでもルーブル美術館の展示に関連したテーマでの花壇の植栽計画が行われるなど、近年、美術展と庭園の植栽のコラボーレーションが流行っています。説明パネルなどがなければそれとは分からない場合が大変多いです。が、何も知らずに眺めても美しく、さらに通常は敢えてしっかり見ないような個々の植物に注目する機会になるならば、それもアリかなと思います。

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