パリのパレ・ロワイヤル庭園のバラ

パリの中心の歴史あるフォーマル・ガーデン

パレ・ロワイヤル庭園は、ルーヴル美術館の向かい側にあり、
コメディ・フランセーズ劇場を従えた
パリの真ん中の小さなフランス式整形庭園(フォーマル・ガーデン)です。

その歴史は古く、17世紀前半にルイ13世の宰相だった
リシュリュー枢機卿が建設した宮殿と庭園で、
その後王室の宮殿(パレ・ロワイヤル)となり、
ルイ14世が幼少期を過ごした場所でもあります。
最初の庭園の設計は、王の庭師デゴ(Desgots)によるもので、
その後ルノートル設計の仕様となった時期もあります。
当初はニレの並木道と刺繍花壇、
大きな噴水のある池がふたつ、
彫刻とちょっとした林という構成だったようです。
その後18世紀に庭園を囲むアーケード部分が建てられてから
面積は大幅に小さくなりましたが、
今も、
「マルキーズ」と呼ばれるパネル型に剪定された
セイヨウシナノキ(ライムツリー)の並木道、
刺繍花壇ではないけれども花壇と芝生面、
噴水のある池と彫刻と....というような
一見オーソドックスな伝統を感じさせる構成の庭です。

歴史と現代の感性がつくる街の風景

ルーヴル美術館側から入ってすぐ
庭園部分にアクセスするすぐ前の、
宮殿の前庭に当たる部分には
ダニエル・ビュランによる円柱のアートインスタレーション(1986年)、
その奥にはポール・ビュリーによる噴水インスタレーションなどの
コンテンポラリー・アートが設置され、
上手に現代のタッチが加わったことで、
アントンポレル(不変的な、時間の外にあるような)
洗練されたパリの顔とも言える空間になっています。

並木道と植栽の魅力

そんな時代を超越した雰囲気の庭園空間、
実は1990年代の初めに大改修をしています。

設計はパリのアメリカ人、マーク・ルドキン(Mark Rudkin)。
改修に当たってのアイディアとしては、
全体的なバランスはとても良い、けれども、
(当時は)誰も立ち止まらない(立ち止まれない)
場所だったので、人々がちょっと座れるような
スペースを作ることにしたんだ、と語っています。

現在は、なるほど、夏は気持ちの良い木陰になる
セイヨウシナノキの並木道の所々にベンチが設置され、
また、植栽で仕切られた幾つものスモールスペースには
ベンチがふんだんに設置され、
花と緑に囲まれて一息つける場所がさりげなく織り込まれた
パリジャン、パリジェンヌの憩いのグリーンプレイスです。

ちょうど雨が降り出したために、立ち上がる人たちが見えますが、
座った状態だと、外からはベンチの人々が見えないような(視線が交わらない)工夫がいい。

バラの季節が美しい

花の植栽については、
土地柄・気候に適応した多年草を用いることにより、
ローメンテナンスを図りつつも、これが
季節ごとにナチュラルで実に魅力的な風景を見せてくれます。

例えば、秋のシュウメイギクが群生した姿がとても素敵なのですが、
さらに、6月のバラの季節は圧倒的です。
パリや近辺のバラの名所といえば
バガテル公園や、ライ・レ・ローズのバラ園などが浮かびますが、
そこまで遠出しなくても、
パレ・ロワイヤルのバラの香りと風景は見事です。
(もちろん規模はだいぶ違いますけれども。)

場所柄、通り抜けるだけでも
普通の街路を通るより気持ち良いので
本当にオススメです。

アペロも忘れずにどうぞ

庭園を囲むアーケード街には素敵なカフェが幾つかあります。
でもわたし的には、ルーブル美術館側から庭園入口に向かって右手側、
コレット広場に広く張り出したテラス席がいい、
ずっと昔からあるカフェ・レストランLe Memours。
オーセンティックな昔ながらのパリっぽさ漂います。


Le Memours ⇦CLICK
2 place Colette 75001 Paris

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