パリ植物園で確認する、学名は大事【目指せガーデナー⑤】

今朝は晴天、青空のパリ植物園に到着。キンと冷えた空気の中を歩きつつも、春らしい明るい陽光に嬉しくなってついスキップしてしまいそう。この時点では植物の学名のことなどは頭になく、ウキウキと満開のミモザの大木に挨拶をして仕事に向かう。

草花を移植する

どういう経緯だったか忘れてしまったのだけれども、急ぎ移植しなければならない植物が届いていて、私はまずその移植作業。作業する時はビフォー&アフターを記録しておけばいいのに、作業を目の前にすると記録は後追いになりがち(はい、今日もそうでした、、、)。

岩組のアルプスの植物コーナーの空きスペースに、アラビス・アルピナArabis alpina(別名ロックマウンテンクレス)を移植する。どこに植えるかは、よくヘッドガーデナーに確認してから。(というか、新米なので、場所を選んでもらって、こんな風にやってね、気をつけることは、、、と丁寧な説明を受けたのち、比較的自由に作業に入ります。)


この岩場に移植しました(すでにアフターの状態です。)


移植ゴテなど、今日使った道具たち。真ん中のものが、除草を始め、いろんな作業に大変重宝でおすすめです。


適切な場所を選んでもらって、まずは土の準備です。雑草があれば取り除き、軽く土をほぐします。

早春の今時期は、まだ芽が出てないコレクションの植物もあるので、作業は注意しながら慎重に行うことが肝心。除草も雑草と確信するものは抜くけど、知らない、怪しいものは確かめる、わからなかったらとりあえず抜かないで、とりあえず残す、が基本。通常のガーデンの場合、ここまで慎重に除草していたら全然進まないのでもっとざっくり行きますが。。。

その後の移植は根にしっかり土を被せて、周りをぽんぽんと固めて安定させ、最後にゆっくり優しく周りに水やりを。


株がある程度ひとかたまりになっていたのはそのままブーケのように集めて、ばらっとしていたのはそれこそ一本一本解れかけを優しくほぐして植えます。
移植直後なのでかなりヘナッとしているけれど、きっと大丈夫。


いい具合に自然に仕上がりました!岩場を下に這うように、流れるような姿で定着するはず。

植物のラベル(名札プレート)と名前

作業が終わったら最後に名札プレートをつけます。
庭によっては、デザインポリシーでラベルをまったくつけないこともありますが、逆に植物園ではラベルの管理がとても大事です。確かに、近似の品種など、すぐ分からなくなりそうです。来園者への情報提供という点でも、コレクションの管理という点でも大変重要です。この辺は、オーセンティックなミュージアムの感覚に近いかも。


ちょっとディテールが見えにくいですが、ラベルを設置して完成です!
パリ植物園のラベルは、園内の専用アトリエで製作されます。大きさは色々あるのですがスタイルは全て統一されていて、グリーンの金属プレートに刻印で仕上げられます。ということで、作るのに時間がかかるので、とりあえずは同じプレートに手書き(学名と科名のみ)で対応。

学名は世界共通

こちらはしっかり出来上がった名札プレートの例。


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一列目>フランス語名(俗名)があれば、フランス語名
Lavande à larges feuilles
二列目>学名
Lavandula latifolia
三列目>原産地と科名
Portugal à C.Italie, Lamiaceae
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日本だったら、一列目のフランス語名のところが和名でしょうか。その植物の一般的な呼び名で、地域によって固有の名前があるときもあれば、流通用の商品名が一般化することもあります。何もない場合は学名でそのまま呼ばれていることもあります。ここだったら<Lavande à larges feuilles>直訳すると大葉のラベンダー、つまりラベンダーです。親しみやすい感じがするけれども、国により、地域によりシチュエーションにより色々違いが出て、不確実性が高い。

その後の学名<Lavandula latifolia>は世界共通。どこに行っても通じます。また、確実にその植物を指すのにも最適です。ですので、植物を確実に発注・入手するには学名でコミュニケーションが行われています。ラテン語から来ていることが多いので、慣れてくると学名で、植物の形態や性質が一部分かったりするので、実はとても便利なのです。
原産地と科名の情報も、その植物の性質(暑さに強そうなのか、弱そうなのか、とか、いろんなことが読み取れます。)を知るのに役立ちます。

このように、一見面倒そうな植物の学名は、その植物の情報がたくさん詰まっているし、同じシステムで世界中でコミュニケーションできるツールなので、覚えておくととても便利、というか必須です。

ちなみに植物園のガーデナーたちは、普段も植物の話をするときほぼ学名を使っています。スノードロップにあたるペルスネージュ(perce neige)、ではなく学名のガランチュス(Galanthus)、など。私もさっくり混ざれるように、さらに学名に磨きをかけたいと思います。


最後にこちらは、プリムラが可愛かったので、それが見せたくて、一緒に仮の手書きの名札プレートの様子です。金属の軸にしっかりとビス留めで耐久性もばっちりの名札プレートです。

*長文お読みいただき、ありがとうございます。
今朝の庭の風景も素晴らしかったのですが、長くなってしまったので、次回に続くにします。

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