マーグ財団の庭、サン・ポール・ド・ヴァンス

バカンス地として昔から人気の南仏コート・ダジュールには、
フランスの芸術家たちにちなんだ場所がたくさんあります。
高台にあるかわいい小さな村、サン・ポール・ド・ヴァンスにはマチスの礼拝堂があり、
その郊外には、ミロやジャコメティなどのコレクションで知られるマーグ財団美術館があります。

松林の中のモダンアートの彫刻庭園、マーグ財団

ミロやボナールなどと親しかったマーグ夫妻のアート・コレクションを展示する私設財団で、
建物はコルビジェの弟子のスペイン人建築家ホセ・ルイ・セルトが設計し1964年に開館。
サンポール・ド・ヴァンスの街を見下ろす松林に囲まれた敷地には、
同時にミロやアルプなどモダンアートの巨匠たちの彫刻作品が点在する庭園が設けられています。

建物入口へのアプローチ。
芝生と松林のみのミニマルなグリーンが、彫刻作品と建築をより引き立て、
伸びやかな気持ちのいい空間が広がります。

こちらはジャコメティのコートヤードから、ミロのラビリンス庭園への眺め。
白を基調としたレトロモダンな建物には、どこか温かみやおおらかさが感じられます。


そしてミロが自ら設計したラビリンス庭園へ。
庭というよりは、緩やかなアートインスタレーション的な空間です。
作品それぞれのための空間が十分に計算されており、
こちらも大変に気持ちの良い空間になっています。


ちょっと見えにくいけれど、左の彫刻はミロの月の鳥、右は太陽の鳥。
その先には松林とサン・ポール・ヴァンスの村を見下ろす風景が広がります。


アート作品が主役の庭園なので、
花がいっぱいの植栽があるわけではありません。
かえって、
作品のための空間を構成する
松林と芝生を基調にしたシンプルな緑と
石積みの壁やテラスを経て建物へと至る繋がりといい
全体的に調和したバランス感が大変良い。

全体の調和が文句なしに心地よく、
レトロポップといったらいいのか、
60年代の時代の雰囲気が古びない魅力を放つ場所になっています。

南フランスならではの明るい太陽の下、
白と明るい色調の石を基調とした建物とシンプルな緑に、
所々に設けられた浅めの水のしつらいが
揺らぐ光と陰の動きを映す様もチャーミング。


建物の間の、いわば坪庭的な場所にあったジョルジュ・ブラックのモザイクの池。
こんなアートと水の使い方もカワイイ。

この空間の心地よさは、
太陽の感じや周囲のランドスケープは異なるけれども、
デンマークのルイジアナ美術館の庭を想い出させられました。

最後に美術館の中からも。
シャガールの大画面の作品とジャコメッティの彫刻。
見えないけれど天井にはカルダーのモビールなど。
モダンアートの巨匠の作品が目白押しながら
バカンス地ならではの、リラックス感溢れる空間になっているのが面白い。

アクセスは車が便利ですが、
バス停も近くにあったので
公共交通機関でもアクセス可能の様子です。

今回の訪問時にはあまり時間がなかったのですが、
目的に応じてシンプルな庭もまたよし、を実感する、
また訪れてみたい場所です。

Fondation Maeght(マーグ財団)
623, chemin des Gardettes
06570 Saint-Paul-de-Vence, France

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