ショーモンシュルロワール・ガーデンフェスティバル[4]

グワドルーの草原

フェスティバル会場は、やはりショーモンシュルロワール城の敷地の一部である、「グワドルーの草原」と呼ばれる気持ちの良い、広い緑地に繋がっています。こちらにも、数々のコンテンポラリーのインスタレーションアートのほか、韓国の庭や日本の庭など、様々な小さな庭が設えられていて、草花いっぱいのアンチームな空間、草原に大樹が点在する伸びやかな眺め、と変化に富んだ散策ができます。時間と元気さえあれば、ぜひ足を伸ばしたい空間です。

さらに、少し前にはなかった、イングリッシュ・ガーデンや、地域のナーサリーと協力したクレマチスなどの植物のコレクションコーナーなどがいつの間にか増えていて、改めて、常に進化していることに感心します。

サスティナブルなメンテナンスで作る緑地の風景

目に見えて変化していることの一つに、環境への取り組みがあります。ショーモンシュルロワール城の敷地では、すでに10年前からサスティナブルなメンテナンスのために除草剤等の化学薬品の使用を停止しています。

エコロジカル・ガーデニングがつくる新しい緑地の美学

こちらはシンプルな芝生の、アート作品が映えるスッキリした空間。その後ろ、遠くの木々を遠景とすると、中景になる波打つ草原に注目です。
芝生を刈らないでおくと、このような膝上まで簡単に隠れるような野原の草原になります。蜂や蝶々の好きな蜜源植物を多く含む野原は、昆虫のためにもなり、土壌の乾きや栄養の流出を抑えるなど生物多様性のために効果的ということで、以前は芝生として管理されていたのが、最小限のメンテナンスで済むことと環境のためになることの両方の理由から、近年草原化している緑地がたくさんあります。

アート・インスタレーションの位置や、散策の小道などを鑑みつつ、芝生として刈込む空間と野原を残す空間を調整することで、全体を均一に芝生とするのとは異なる、楽しい印象の景観になっていたのが印象的でした。残念なのは、朝から写真を撮りまくったせいでバッテリーがなくなってしまい、草原風景の写真がほとんどない(涙)。しかしこの傾向はまだまだしばらく続くと思うので、別の機会にも見られるだろうからということで、良しとすることにします。

エコロジカル・ガーデニングと水やり

また、32ヘクタールある敷地全体のうち、灌水があるのは草花が集中する場所を中心に5ヘクタールほどのみとのこと。敷地内に掘削した水源と雨水利用の水による点滴灌水を夜間に行うことで、最小限かつ最大効果の水やりシステムになっています。灌水面積の比率から見るに、当然この草原は水やりの優先順位から外れますが、夏は乾いて小麦色になる芝生を受け入れる、ということもエコロジカル&サスティナブルなガーデニングの決断の一つです。写真ではまだ緑色の芝生と草原ですが、夏から秋にかけては、水やりがなければどんどん小麦色になっていきます。一昔前なら茶色くなった芝生は手入れがなってない、とクレームものだったかもしれませんが、今や小麦色の芝生も夏らしくていいね、という時代になってきた感があります。

ウィローの散歩道

最後に、一番お気に入りだった、ナチュラル感いっぱいのウィローの散歩道を。


シダレヤナギの葉っぱが頭上すぐ上をゆさゆさとするトンネルは、至極シンプルだけれど、ありそうでなかなか見なかった気がします。1本や2本じゃなくて、30本とか50本で、どこまでもゆらゆら続く感じがまた贅沢で良かった。成長は早いけれど、根が浅く強風で倒れやいので、通常の並木道などには使いづらいのかもしれませんが、日当たりを好み、成長は早く、実はある程度乾燥にも強く、環境適応能力が高い木という性格は、この緑地のこの場所にはとっても合っているので、なるほどとなー、と思うのでした。

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